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「あ…」
どうやら、落としてきてしまったらしい。
変わりの品は無い。
町に出れば、新しい物を買うことができる。
だが、もともと金銭はそれ程持っていない為、無駄遣いはしたくない。
…取りに戻るか否か。
迷い、悩む。
おそらく、落とした位置は あの場所 …。
瞬間、よぎるのは魔物の姿。
凶暴で狂暴な、命を狩るモノ。
…こんな形で自分の『人間らしさ』に気付くとは思わなかった。
人間らしい『非力』と『醜さ』。
圧倒的な力の差。
感じたのは、恐怖だけではなく、
生に対する執着。
いざという時になると後込みする。
なんて、浅はかな…。
心の内で自嘲気味に呟いて、私は顔を上げた。
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