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ここは、本来なら人間が立ち入るべきではない場所。 森の中。 日が昇っている間は静寂が、夜が訪れれば魔が森を支配する。 僅かな日差しが、薄暗い空間の中で浮き上がって見えた。 …位置としてはまだ、そう深い所ではない。 まだ、安全なはず。 “安全”…その言葉が正しく適用されることが、果たしてあるのだろうか。 絶対的な“安全”なんて有り得ない。 不測の事態は起こり得る。 むしろそれは油断をよび、危険を孕むのだろう。 だから、恐怖はあって良い物であり、無い方が危険なはずなのだ… などと、 気がつくと、そう無理やり自身に言い聞かせ、僅かに強ばっている体を和らげようとしていた。
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