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「次に、スライディングだ」
一呼吸おく。グラウンド上の静けさがいっそう感じられる。
「スライディングは、スピードを最小限に落としベースにタッチしなければならない。そのためには、遠すぎず、近すぎずの距離でスライディングをしなければ駄目だ。お前に、コレらができるか?」
「出来ます」
出来る。いや、出来なくてはいけない。どんな事をしてでも、これらをマスターする。
時計を見ると長針が7のところで止まっていた。いい加減、練習を始めなくてはいけない。
「よし、練習をはじめるか」
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「大丈夫かよ、盗塁するのか?」
「もちろん。なんのために代走やってんだよ」
キャッチャーが少し動く。同時に、ピッチャーからのけん制。かなりリードの幅はでかかったが、楽々セーフ。ピッチャーは首をかしげている。
真鯛、そこにいるんだろ? けん制なんてセコイ真似、ピッチャーにさせんじゃねぇよ。
足元を均す。そして少しずつリードをし始めた。
「START」
ピッチャーが足を上げる。クイック。それと同時に速水がスタート。走りかたが前と違く、土煙が上がらない。
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