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「無駄な力を抑え、最初のスタートダッシュだけを集中したって訳か」
真鯛がつぶやく。そうだ、絶対に間に合うはずが無い。
ウエストにボールが決まるが、その頃には悠々セーフ。パラパラ、と乾いた土の音がセカンドベース付近でなり、速水が膝を叩いてるのが見える。
「おおーー!!」
「すごいっすね、監督」
ベンチでも、皆驚いた表情だ。得点圏にランナーがいったことで、サヨナラのチャンスが上がったのだ。
「まだだ」
「へ?」
「アイツは、二塁なんかで終わったりしねえ」
見ると、速水はかなり大きめのリードを保っている。セカンドや、ショートが近づいても、全く動じない。
ピッチャーが足を上げ、ステップ。外角高めにボールが決まり、真鯛がサードに送球する。
「!!」
「まにあわねぇじゃん!」
ベンチから思わず声があがる。速水が五分の四あたりに行った時には、もうサードにボールは行っている。
「SLIDING」
深く、地面を削るようなスライディング。そして、サードがタッチをしようとした瞬間、速水が視界から消えた。
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