選抜

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「名前は?」 「矢崎真と柳沢葵」  どっちも男子か。 「七人で、男子二人が決定したから後は、男子二人、女子三人ぐらい集めればいいか」 「誰が集めるの」  他に仲間はいないし、人付き合いがいいほうだとは思えない。自分で分かってる。 「千春に決まってるでしょ」 「あっそ」  嫌そうな顔しないでよね。私だって嫌なんだから。 「私が決めた人を肝試しに誘ってね」 「ちょっと待った、私も参加させるつもり!?」 「殺さなきゃいいんでしょう?生かしてもらってるのに態度でかすぎ」  これでバッチリ。さてと、五人はどうしよう。死んだ奴らの席に座って教室を見渡す。私の机は既に撤去されちゃって座る場所がないのよ。 「矢崎~、予習やってある?」 「やってあるけど、お前には見せない」  矢崎と話しているのは雨宮桜子、か。あいつでいいや、いちいち決めるの面倒。どうせ皆死ぬんだし。  そうなると、あいつらの友達を誘ってもらったほうがいいかしら、芋づる式ってやつ。矢崎と柳沢と雨宮の友達……私が知るわけないじゃない。 「桜子、宿題は自分でやりなよ」  古宮陽子、雨宮に話し掛けてるし仲が良いってこと?名字に“宮”がつく同士仲良いんじゃない?よおし、あいつで。残り三人もどう決めよう。同罪だからどれから殺しても別に。 「陽子が宿題見せてくれるの?」 「遊んでた人には見せない」 「矢崎と同じようなことを……」  ぷう、と頬と膨らませる雨宮。全然可愛くない。気持ちが悪いったらありゃしない。ぞくぞくする。さっさと殺さないと。  決定者は、柳沢葵、矢崎真、雨宮桜子、古宮陽子、あと三人。男子二人と女子一人。残りの女子は千春にしよう。殺さないけど残り一人を選ぶのも大変だ。  雨宮がうるさすぎて他が目立たなくなっちゃう。殺すときもきゃーきゃー喚いてやかましそう。口を縫い付けるのも一つの手ね、できるかしら。やるとしたら千春にやらせよう。 「危ねえ!!」  私が反射的に、声がした方向を向くと上履きが飛んできた。もちろん上履きは私を擦り抜ける。そして後ろの女子二人の近くの机の上におっこちた。 「私と陽子に当たったらどうするつもりだったの!?」  雨宮うるさい。 「悪意はないんんだからいいだろー、うるさいんだよドブス」  良い事言うじゃない。変わった名前だからなんとなく覚えていたのよね、トキ、サダ、ミサ、オ。
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