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直ぐに堂々とお二人の目の前に立った。以前の私なら考えられない。
「森下!?」
「ご無沙汰、何日ぶり?」
笑う私をよそに横内花梨は少し動揺した後、笑いかけてきた。
「原田千春を殺す。佑介はもう死んでるだろうしこれで満足でしょう」
あんたがこんなやり方をしなければね。
「満足、誰がそう思うの」
私は谷沢恵美に近づいて闇の刃で心臓を貫いた。
「ぎゃっ」
谷沢恵美は叫ぶ間もなく、血反吐を吐いて倒れる。最近知ったのだが、闇の刃は普通の刃物としても使える。
「はぁ」
人が死に逝くというのに、溜息ですか。
「これで貴方の協力者はいない」
「――それから何だかんだで現在、これでいい?」
「説明をハブくな」
原田さんが私を怒鳴りちらす。今の自分の状況を分かってるのかしら。
「横内花梨が反抗するから、イラっとしてあんな感じになった」
私は意識のない横内花梨を指差す。
「分かった?」
「分かんない」
「……もういい」
原田さんがしつこいので、話を先に進めることにした。
「生きてるのは原田さんと、横内花梨だけなんだよね。横内花梨はもう原田さんのこと殺せる気力ないだろうし、というか私がその前に横内花梨を殺すけど」
「話が読めない」
こいつ馬鹿だ。
「生き残りおめでとう。原田さんがあまりにも馬鹿だから、殺す気なくしちゃった」
「は」
意味を理解してない原田さんは私にさらに説明を求めているようだった。
「生き残れるのは一人。で、生き残った人を私が殺しちゃおうって思ってたんだけど、原田さん私ってそっくりなんだよね」
私は短剣を片手にぶらぶらと遊ぶ。
「全然似てないしね」
原田さんは容姿とか性格を見ているのだろう。
「あのね、似てるって言ってるのは本質的に似てるっていうこと。裏切られ方とか」
信じていたのに、突然の裏切り。そう、私だって最初からいじめられてたわけじゃない、ゲームなんだ。ターゲットが見つかれば誰でもいい。
私が体験したいじめはそんなもの。喧嘩がこじれていじめに発展したならまだ諦めがつく。けど、毎日の暇つぶしのために私はいじめられたんだ。そのせいで、私は人間をやめた。
「私は今でもこの学校が憎い。でも、今の原田さんなら私の気持ちを分かってくれそうだから、生かしてあげる」
生かしてあげるから私のように死ぬまで永遠に苦しんで欲しいんだ。
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