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「ぶっ、あははは!!」
夜中に自宅のパソコンを見て大笑い。近所の人に咎められることはない。見えないから、ね。
「あー……いいな、この殺し方」
四肢を切断ぶっち切り、臓物ぐっちゃぐっちゃ楽しいわ。熱した杭、ねずみの死体、牛の臓物、ギロチン、アンモニア……いいなぁ。
私が開いているのはグロテスクな小説。こんな殺し方をしてみたいけど場所とか経費とか大変なのよね、高校生には夢のまた夢。
私もやってみたい、こんなこと前は考えなかった。内気で弱気な私はグロテスクなもの見れなかった。お化け屋敷すら入れなかった。
性格が変わったのに気付いたのはつい最近。人を一人殺したぐらいでこんなに変わってしまうのか。
「次の殺し方、決めないと」
翌日に目を覚ますと、直ぐに学校に向かった。
「まあ、すごい」
教室の机のいくつかに花が添えてある。いずれも皆、白い花をベースにしていて、全て死んだ奴らの机の上に一つ一つきらびやかに咲いている。テレビやら漫画やらでこんなシーンをよく見るけど、本当にこんなことってあるのね。
私は千春の所に向い肩を叩く。
「千春」
返事がない、なのでもう一度。
「反応しないと殺すわよ」
……ああそうか、私って私が殺意を持った人しか見えないんだった。千春を殺す気がないから見えない。それなら見えるようにするまでだけど。
私は千春をじっと見つめる。
「ぶっ」
あ、吹き出した。失礼極まりないわね。本当に馬鹿。
千春は立ち上がるとどこかに向かおうとする。私が引き留めようとすると後ろを振り返って周りに見えないように小さく手招きをする。ついてこい、ってことでいいかしら?
私は黙ったままの千春の後ろを無言でついていった。
「何でいきなり人の目の前に現れるんだよ」
空き教室で千春が騒ぐ。
「心外だわ、私は二度も千春に声をかけたのに。気付かなかったのはそっちでしょう」
といっても、千春には私の姿が見えたはずがないのだが。
「何で他のやつらは森下が教室にいても全く気付かなかったの」
「それはまぁ、企業秘密」
あの短剣の説明を千春にしてたら絶対に日が暮れる。
「用件は何、気が変わって私のこと殺しに来た?」
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