選抜

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「あんまり可愛くないことばっかり言ってると、本当に殺すわよ」 「冗談だって」 「笑えない冗談は嫌い。それでね、相談があるのよ。次はどんな殺し方がいいと思う!?やっぱり臓物をぐちゃぐちゃにしたりとか、死ぬまで骨を砕いたりとか。それぐらいなら私でもできそうだし、あ、あるいは塩化カリウムを目の――」 「はいはい、はいはい。で、なんで私に相談するんだよ。それ位自分で決めろ」  千春ひどいなあ。自分が生きてればクラスの皆がどんな酷い死に方をしてもいいのかな?ああ、そんなの当たり前か。自分が生きてればそれでいいよね、世の中。 「想像力が乏しいのね」  やんなっちゃうわ。 「あのさぁ、殺し方って言っても人数や場所によって変わるでしょう。急に殺し方を考えてって言われても困るんだよね」  ……それもそうね。 「じゃあ、一気に七人ぐらいどーんと」 「……森下って本当性格変わったよな」  言われなくとも。千春だって人殺せば愉快な性格になるんじゃないかしら? 「場所は?」 「じっくり考えてくる」  場所は突発的に考えるのは難しい。 「私は授業があるからもう行く」 「さぼっちゃいなよ」 「一応学生なんでね」  千春は急ぎ足で去っていった。 「どうしようか」  それから、私はいつものように、一人で電車に乗っていた。もう一度、グロテスクな小説でも読もうかしら、そう口に出した時だった。 「本当にやるの?」  隣に座っていた他校の男子生徒が言った。 「いいじゃん、楽しいぞ~夜の学校の肝試し」  ……肝試し? 「一人でやってろ」 「そんなこと言っちゃって、恐いんだろ」 「恐くない」 「よっしゃ、全員参加だな」 「先生に見つからないといいけど」  男子生徒三人は次の駅で降りていった。なるほど……学校で肝試し、か。 「ということで、今回もまた学校で殺っちゃうことにしたの」  私は早速、千春に昨日のことを話してみた。我ながら良い案を出したと思う。 「千春は殺すのに相応しいやつらの品定めできたの?」 「二人」  あら、私は七人って言わなかったかしら。 「残り五人は?」 「自分で決めろ」 「……それもそうか」  千春の馬鹿に何でもかんでも任せてたら殺せるものも殺せない。
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