304人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
私がそのサイトを見つけたのは夜中の二時。懲りずに自殺サイト巡りをしていた。もうそろそろ寝よう、と思ったそのとき、誰かから一通のメールが来た。
“仕返しサイト・闇の復讐者、知ってますか?”
「仕返しサイト?」
私は思わず声に出してしまった。いきなりだったしびっくりしたから。詳しいことはサイトに行ってみれば分かりますよ、と。
突然のメール。闇の復讐者。見るだけ、サイトを見るだけ。
私はびくびくしながら添付されたアドレスをクリックした。
「うわっ」
黒い背景に真っ赤な文字で、仕返し専用サイト・闇の復讐者。ここまでは、普通にある自殺サイトと同じ。私がびっくりしたのはその下。
歩いている女性に、後ろから来た男性がナイフを刺しぐちゃぐちゃにする動くグロテスクなミニキャラクター。
よくできてるなぁ。少し、興味が湧いた。続いてその下に書かれた文を読んだ。
このサイトは、世に裏切られ、死に近しい思いをした者だけが訪れるためのサイトです。年令、性別は問いませんが生半端な覚悟の者、軽はずみな訪問は控えてください。
強い恨みのある方のみ先へ進んでください。
……文の最後には、進む・進まない、の文字があった。私は、迷わず進む。
このサイトは本物の復讐専用サイトみたいだ。お礼のメールや仕返しされた人数が細かく掲載されている。
でも、違法じゃないのかな。それとも、警察は無視しているのか。こんなものはただのいたずらだ、と。
もしこれが本当なら私は仕返しができる。私をいじめた人達に、と同じ苦しみを……あげましょう。
詳しい仕返しの仕方の項目に私はドキリとする。こんなにストレートに私のしたいことが言葉になるなんて。これを見れば私も……。
見るだけでは済みそうにない、実行したい。思う気持ちが私の中で徐々に強くなってきた。
早く仕返ししたい。その一言が頭の中に。
“あなたの名前。住所、仕返ししたい理由を書いて下記のURLに送信して下さい”
どうしようかな。いくらなんでも突発的すぎやしない?ここに送信したら悪用されて、毎日迷惑メールが来たり、架空請求が来たりしないんでしょうね。
信じていいのかな。でも、私にはもう信じられるものがない。失敗したら、死ねばいいや。
最初のコメントを投稿しよう!