選抜

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「そんときゃ、葉桐も一緒だ」 「御免だね」 「お前ら二人で行ってこいよ、その間に俺は携帯いじってるから」  関わりのない矢崎は、気楽に話す。 「ま、遊びの範囲だし時定には後でジュースでも買って詫びればいいだろ」 「葉桐ナイス、牛乳でいいよな」 「うわ、軽く嫌がらせ」  三人は顔を見合わせた後けらけら笑った。 「男子って低能」  雨宮がノートを開きながらぼやく。真っ白だ。 「そう思うなら、ちゃんと勉強しないとね」 「千春」  私が話し掛けると千春は小声で答えてくれる。 「何」 「“あんたの”クラスメイトってロクなのいないわね」 「森下もロクじゃないよ」 「あたり前でしょ。なんせ平気で殺人をどんどんしているんだからさ。あ、普通だと思ってた?」 「ううん、イカれてると思ってた」 「そうね、私もイカれてると思う」  イカれてるって言ってもちょっと人とは感性が違うだけ。人と違うのを変人として見るのは違うと思うわ、私。 「七人決まったけど」 「千春って恋してる?」 「はあ、何で」 「追加で、そいつでも殺そうかなあと思って」 「最低」  心の底から罵られても、相手が千春だから逆におかしくて笑ってしまう。 「そう?腐った塊の中で恋しても後悔するだけよ」 「いないからいいけど」  いないのかよ。 「明日、決行するから」 「分かった。実はさ、夜の学校探索って少し憧れてたんだよねぇ」  人殺すって言っているのにこの馬鹿は……やっぱり殺っとくべきだったかも。 「でもさ、夜って普通セキュリティかかってるよな、どうすんの」 「決行する。セキュリティ壊してでもやってやる」  よく考えればいい話だった。あの短剣でセキュリティの心臓部をずったずたにしてやった。今は、夜の十時。千春、上手に皆を誘えたかな。馬鹿ばっかりだから失敗はしないと思うけど、少し心配。 「こんな時間に学校開いてるのかー?」  多分、矢崎の声。 「開いてなかったら来るわけないじゃん。頭使えよ」 「千春の言う通り。矢崎も頭弱いんだ」 「雨宮には言われたくないんじゃないか?」  葉桐が柳沢に話をふる。 「同感、うちのクラスでも頭悪そうだしな」 「こら、大きな声で話すな。近所迷惑だし学校入れなくなるよ」  連中の一部は古宮に言われてしばし沈黙する。
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