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「アミダの結果に納得いかないんですけどぉ」
「何の為に来たんだよ」
「柳沢には言われたくない」
アミダは運だから仕方ない。雨宮と柳沢の喧嘩にもいい加減飽きてきた。
「森下」
呼び掛けても返事はない。見えなくなっただけなのかそれともいないのか、森下からの憎まれ口はなかった。
「どんな結果になっても楽しめないとは思うよ、肝試しだし」
「原田と山岸と同じチームで良かったぜ。こいつら冷めてるし」
私は山岸と矢崎が同じ組み分けになった。
「いいなぁ」
「俺じゃ不満かよ」
雨宮と葉桐が同じ。ちょっと、羨ましい。
「葉桐ならまだいいじゃない、柳沢って」
「俺だって古宮は嫌だ」
残りは古宮と柳沢。随分と温度差がある。
「肝試しだしって具体的に何するの」
葉桐に聞かれて私は自分が皆を集めたことになっていることに気付いた。そんなこと言われても。そう思ってジーンズのポケットに手を突っ込んだのが吉だった様だ。
私の手の甲に何かがクシャリと当たったことに気付く。触り心地で紙だということが分かる。いつかのレシートだろうか。その紙をそっと掴んでポケットから出すと広げてみる。
「何だその紙」
矢崎が紙を覗いた。手書きの学校の地図、私の字じゃない。わざわざご丁寧にこんなことをするのはおそらく森下だろう。
チェックポイントを通りながら屋上へ続く階段まで行く。ただし、通るチェックポイントは三つで構わない、と書いてある。
赤い点が打ってあるのがチェックポイントだろう。所々に赤い点がついている。
「この紙に書いてある通りだよ」
私は全員が紙を見れるよう山岸の懐中電灯の光に当たるように紙を見せる。
「うわぁ、凝ってるねえ、お疲れさま」
雨宮が感心して、紙から私に視線を移す。
「原田も暇人だな」
暇人だな、の後に葉桐が何か言ったように聞こえたが小さすぎて聞き取れなかった。
「でも、この紙って一枚だけじゃん、無理じゃね?」
柳沢はいつだって話に水を差す。
「チェックポイント場所を各自三つ覚えて、そこに行けばいいんじゃない?自分達の学校なんだから、迷うことはないし」
さっきから古宮の考えに助けてもらっている。頭の回転が早いやつは言うことが違う。
「被らないようにしないとね。僕らはどこにしようか?」
山岸が私に問い掛けて私は地図の赤い点を指差し始めた。
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