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「図書室って漫画ないじゃん。静かだし超つまんねー」
「漫画なら少しだけあるわよ。昔の有名なやつくらいだけど。静かなのは当たり前」
うるさい図書室なんて聞いたことないわ。
「へえ、今度行ってみるかな」
「というより、今から向かっているでしょう」
「ああそうか!でも暗くて字なんて読めねぇし。どうせ電気つかないんだろ」
「多分ね。そもそも電気がつけられたとしても民家から質問が来るわよ。夜中にお宅の学校は何やってるんですかってね」
そんなに民家はないけど。
「古宮、お前頭良いよな」
横を歩いていた柳沢が私の前に回り込んで顔を覗く。
「柳沢が馬鹿なのよ」
「は?褒めてんのに何それ、愛想悪っ!」
勝手に褒めたんでしょ?そう言いたいのを堪えて再び私の横を歩く柳沢を見る。ふてくされたのだろうか、それ以上は何も言わなかった。
「さっきの灯りの話だけど、柳沢の言う通り、あった方がいいかもしれない」
「なんで」
「チェックポイントに着くだけじゃ、終わらないと思うのよ。……スタンプラリーみたいにハンコを押すかもしれないし、あるいは図書室にある“何か”を持ってくるか」
「何かって、何?」
「分からないから何かって言ったのよ」
「予想立ててみろよ」
そう言われても、もう図書室前なのよね。
「私だったら証拠写真を撮らせたり、図書室の本を持って来させたりするかな」
「へえ、じゃあそうなんじゃね?」
だから仮説だって。話が合わないから苛々する。しかも超がつくくらいの他力本願ぶり。
「逃げたりしないでよ」
「そっちこそ泣くなよ」
お化け屋敷なんて、入ったことないけど、きっとこんな感じなのだろう。でも所詮、お化けが恐いんじゃなくて、この雰囲気でいきなり何かがでてくるって思うから恐いのよ。作り物か同じ人間が変装している、と思えば恐くないはず。はず、よ。
私は一歩下がって柳沢にドアを開けるように促す。
「開けるからな!」
わざとらしく大きな声を出し、図書室のドアが開いた。
「なんの変哲もなし」
「うわぁ!!」
前にいた柳沢が突然叫ぶ。少しびっくりしたけど私まで驚く程でもない。何かあったのかしら。
「どうしたの?」
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