140人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前さ、もう少し女の子らしくした方がいいぜ」
「……へっ?」
「オレ、正直無理っぽいんだよね別れて?」
10月の初め。
夏の暑さがだいぶ弱まり、町の雰囲気はやっと秋らしくなってきていた。
「くっそぉ―――――――っ!!秋が恋の季節なんて絶対に嘘っぱちだぁ!」
先程別れを切り出されていたこの女の子の名前は金山 夢(カナヤマユメ)
元気いっぱいの高校2年生だ。
「あーあ、イライラする!」
夢は行く宛てもなく、ただ町中を歩いていた。
「そーだ!この辺ならお気に入りの喫茶店があるんだった」
夢は大の甘い物好きなのだ。
「あそこのケーキめっちゃおいしいんだよなぁ、よし!今日はやけ食いしちゃおっと」
夢はとある小さな喫茶店に入っていった。
カランコロン
(あっ……人多っ!!)
入ってみると、喫茶店は見るからに満席のようだ。
(最悪……)
夢はため息を吐く。
「夢ちゃん、ごめんねぇ
今満席でさ、なんなら相席でもいいかな?」
喫茶店のマスターが申し訳なさそうに言った。
ここにはよく来るため、もちろんマスターとは顔見知りだ。
「うーん……」
夢は考える。
(どうせ今帰ってもすっきりしないだろうしなぁ)
「大丈夫ですよ」
夢はにっこりと返事をした。
最初のコメントを投稿しよう!