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夢は放課後が待ち遠しくてたまらなかった。
キーンコーン
カーンコーン
チャイムが鳴り響く。
「あとは終礼だけ!」
小さくガッツポーズをして、早々と帰る準備を済ませる。
「さようなら」
そのあいさつと共に夢は急ぎ足で教室を出た。
「校門にかっこいい人がいるよ」
「うそっ!彼女待ちとかかな?」
昇降口に向かう途中に、そんな噂話が耳に入る。
(朔さんだ!)
夢は走って校門に向かった。
「朔さん!」
校門の前には朔が立っていた。
「こんにちは、もしかして走ってきたの?そんなに急がなくても大丈夫だったのに」
息を切らしている夢を見て、朔は優しくそう言ってくれた。
朔は夢の荷物を持つち、空いた手を握る。
「車で来たから」
にっこり笑い、黒のかっこいい車を指差した。
「すごーい」
夢はちょっと感動しながら、朔が開けてくれたドアから助手席に座る。
「どっか行きたい所ある?」
運転席に座った朔は、ハンドルに持たれかかりながら夢に聞く。
「いえ、私はどこでも!」
夢は緊張した声色でそう言った。
「そう?じゃあ今日は僕のフルエスコートだね」
朔は笑いながら車を走らせる。
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