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葉子の病室の窓を、看護士山岸名津美が開くと、夏の熱気と蝉の鳴き声が入って来た。
「うわ~!暑いわね~。」
名津美はすぐに窓を閉めカーテンを束ねた。
「少しでも空気を入れ替えたかったんだけど。」
「ありがとう、大丈夫よ。」
「そう、それじゃまた後で来るわね。」
「はい。」
「あら?最近何かいい事でもあったのかしら?」
「え?ええ、少し。」
「やっぱり、最近は笑顔をよく見せてくれるから嬉しいわ。」
「そうかしら?」
「ええ、葉子さんは笑顔のほうが素敵よ。」
「ふふ、ありがと名津美さん。」
山岸名津美は病室の時計を見た。
「あら、いけない!それじゃ私行くわね。」
「はい。」
そう言うと名津美は慌てて病室を出て行った。
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