安堵

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いつもより遅い昼休み   俺は可奈に連絡を入れる 『翔くん心配かけてごめんね』 受話器の向こう第一声がそれだった   明るい声に俺は落ち着いた 『いや、旦那と離れててくれるほうが俺は嬉しいよ』   『お父さん お母さんに会いたくて 今まで何も話して無かったしなかなか帰して貰えなかったから…』   『そう言ってたな でも良く出れたな』   『少しだけ荷物まとめてたの…翔くんが勇気をくれたからよ ありがとう…』   『時間作ってそっち行けたら行くよ』   『無理しないでね ありがとう お父さんもお母さんも仕事で居ないから夜に話する お母さんが朝帰ってきたわたしにびっくりしてたけど』 弾けたように笑う可奈に安心する   『ゆっくりしてこいよ』   電話を切って俺にもできたことがあったんだと少し嬉しかった   距離は離れたけど気持ちはもっと近付いた気がした   そして何より安堵に包まれた俺が居た
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