337人が本棚に入れています
本棚に追加
いつもより遅い昼休み
俺は可奈に連絡を入れる
『翔くん心配かけてごめんね』
受話器の向こう第一声がそれだった
明るい声に俺は落ち着いた
『いや、旦那と離れててくれるほうが俺は嬉しいよ』
『お父さん お母さんに会いたくて 今まで何も話して無かったしなかなか帰して貰えなかったから…』
『そう言ってたな でも良く出れたな』
『少しだけ荷物まとめてたの…翔くんが勇気をくれたからよ ありがとう…』
『時間作ってそっち行けたら行くよ』
『無理しないでね ありがとう お父さんもお母さんも仕事で居ないから夜に話する お母さんが朝帰ってきたわたしにびっくりしてたけど』
弾けたように笑う可奈に安心する
『ゆっくりしてこいよ』
電話を切って俺にもできたことがあったんだと少し嬉しかった
距離は離れたけど気持ちはもっと近付いた気がした
そして何より安堵に包まれた俺が居た
最初のコメントを投稿しよう!