安堵

6/9
前へ
/285ページ
次へ
『可奈がね赤ちゃん抱っこして悲しい顔でこっちを見てたのよ…だからずっと気になっててね』 … … お母さんそんな不意打ちずるいよ わたし泣いちゃうじゃん あなたの前ではまだ子供だもん   シンクの縁にずるずるともたれて泣いた   何も言わずお母さんはわたしの頭を撫でた 撫で続けた   本当はお産の準備とかで帰って来たかったこの場所   『可奈…親子はね繋がってるのよ』   だとしたら あの子とわたしも繋がっているの? ならばあの子に恥じない生き方をしなくちゃ   『しばらくこっちに居るなら居ていいから良く考えなさい』   『見守ってるから』   有難い言葉   『お父さんもあんた達が上手くいってないの気付いてるよ だから今日可奈の口から話しなさい』   わたしの涙をエプロンで拭きながらお母さんが言った   ただただ深くうなずいた
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

337人が本棚に入れています
本棚に追加