雲に、身をまかせて

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夕方になると、 妹が帰ってくる。 「ただいま。」 妹はいつもお土産を、家に持ち帰る。 「お兄ちゃん、お土産だよ。」 小さな手からは、溢れんばかりだ。 両手で、その大切なものを捧げ持ち、 僕に手渡す。 今日は、石だ。 綺麗な石を、何個も拾ってきたようだ。 青白い石があるかと思えば、 よく見るとガラスの破片だったりする。 僕は、苦笑いしながら、妹にお礼を言うのだ。 「ありがとう、真里。」 西日が当たると、 お土産の宝石たちは、 空の青から、橙色に変わる。 本物の宝石のように、 輝いていた。
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