雲に、身をまかせて

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のぼせてフラフラしながら、 風呂場をでると、 母さんがカルピスを作ってくれていた。 グラスはひんやりと冷たい。 内にこもった熱を、 手の先から吸収してくれる。 甘くて、濃くて…。 のどを潤す。 グラスを傾ける度に氷と氷がぶつかり合い良い音がする。 カランカラン… 一気に飲み干してしまった。 そして残った氷を、 口に含む。 波のように押し寄せる痛いほどの冷たさ。 でもこれが、気持ちいいんだ。 僕は口に氷を含んだまま寝ころぶ。 そして思わずつぶやく。 天国っ…。 父さんも、 母さんも、 真里も、 みんな笑った。 夜は更けていく。
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