無情という、闇

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しばらくすると、 看護婦さんが出てきた。 その看護婦さんは、 梅干しのようにしわしわで赤ら顔。母さんよりもずっと年上に見える。 ガラガラな声で 「畑山さんお入りください。」と言った。 父さんのあとを追って僕も入ろうとすると、 父さんはいつもよりも優しい声で「テツは真里を見ててくれ。」と。 父さんは、さっさとお医者さんのいる部屋に消えた。 父の背中は、 この前の力強さはなく、なぜかとても頼りなく見えた。 父さん、僕を置き去りにしないでよ。
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