無情という、闇

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沈黙が、僕を襲う。 沈黙こそ、最も耳を刺激するものだろう。 この嫌な沈黙が 聞こえないように 僕は、意識を他に移そうとする。 そうすると 今度は、 冷たい壁に掛けられた、 古びた時計の針の音が 僕の耳に突き刺さる。 真里に話しかけようにも、既に僕の膝の上に寝ころび、静かに眠っている。 真里が着ている水玉柄のシャツ。 目が醒めるようなスカイブルーの水玉。 袖にちょこんと付いている、リボンを見つめながら、 僕は座っていた。
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