心の庭

母のいない日々は

おばあさんだった。

白髪混じりで、
皺のなかの瞳には
温かさと、優しさが感じられた。
喋り口調はとてもおだやかで、
イントネーションは、このあたりの人ではないな、という印象だった。

このおばあさんは、
母さんが入院する、ずっと前から入院しているらしい。
年は８４歳。
週に一回、孫がお見舞いに来ていたが、
最近、その孫は、出産のため、
それ以来あまり顔を見せなくなったという。

やはり、元来、西のほうの育ちだった。

詳しい理由は言わなかったが、事情があってこちらに来た、と言っている。