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恭二が美鈴に言った意味深な言葉……
美鈴には、その言葉の真意が見付けられず、恭二の言葉を素直に頷いた。
それから……
一週間が経過した。
「お母ちゃんお帰り~!」
「ただいま……美鈴」
「お母ちゃん、もう退院しても大丈夫なの?」
「うん。もう平気よ?」
『母さん……』
「恭二……迷惑かけちゃってゴメンね?」
『いや、良いんだ……それより仕事を暫く休めよ!』
「どうして?生活が大変だから直ぐにでも働くよ?もう体調も良くなかったから!」
『母さん……嘘を付かないでくれ!』
「えっ!?」
『病院の先生が精神的な疲れがあると言っていた』
「……聞いたの?」
『ああ!だから今は……無理しないでくれ』
「………」
『俺も母さんの苦労が解る。だから今は休んでくれ』
「でも……借金が!」
『大丈夫。金融屋とは話しが着いてる。少しの間……返済を待ってくれとお願いした!』
「えっ!?待ってくれるの?」
『ああ……問題無いってよ!』
美樹は、その瞬間に大粒の涙を流した。借金苦から開放された気持ち……
何よりも気が楽になった瞬間であり、その表情を見た恭二は美樹が本当に辛い気持ちの中で働いていたんだと実感した。
安心の表情をする美樹と美鈴……
勿論、恭二も同様であると思われたのだが、恭二の表情が何処かぎこちない。
(母さん……金融屋が待ってくれるって話は嘘なんだ!)
(今は無理をさせたくない……このままでは美鈴も寂しい思いをする)
(だから今は……俺に任せてよ!)
遠い目線から2人を観察する恭二は、2人に嘘を付いた。
金融屋の支払いをするには、恭二の稼ぎだけでは足りない。
そうなると美樹はまた労働するに決まってる。だから恭二は美樹に嘘を付いたのだ。
流石の美樹もそこまで気付かなかった。いや、今の美樹そんな余裕は無いと言うのが正しいだろう。
『だから……暫くは安心して生活出来るから心配しなくて大丈夫!』
美樹が恭二の言葉に頷く。そして、恭二は美鈴の頭を撫でながら美鈴に語り掛ける。
『ラ~メン!美味かったよ。あれを母さんにも作ってやってな?』
美鈴も泣きながら恭二の言葉に小さく頷いた。
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