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----その夜----
『美鈴……母さんが過労で倒れた!』
「お母ちゃん大丈夫なの?」
『大丈夫だよ。暫く安静にしてれば良くなるって』
「じゃあ……お母ちゃん直ぐに帰って来るんだね?」
『ああ……だから心配は要らないよ!』
「良かった。それより恭兄ちゃん、御飯食べた?」
『いや、まだだよ』
「ウチの作ったラ~メンで良かったら食べる?」
『美鈴!何時の間に料理を覚えたんだ?』
「さっき、初めてラ~メンを自分で作ったんよ~!だからラ~メンだったら大丈夫!」
『あははっ!そうか~!じゃあ……お願いしようかな』
「はい!ちょっと待っててね?」
恭二を気遣う美鈴。恭二に対する優しさが良く解る。そして、恭二は美鈴が料理を作ってくれてる間、母親の事が気になっていた。
(何故……過労で倒れるまで働いたんだろう…)
(運が悪かっただけか?)
(いや……違う!)
(大切な家族を守る為に決まってる……)
そう……
我が身より大切な我が子の為、母親の美樹は身を滅ぼすまで働くつもりだったのだ。
愛する我が子を守りたい……
その気持ちが強いだけに、過労で倒れるまで働き続けたのだ。これを、精神が肉体を凌駕すると言う。
いくら精神と肉体が強くても休憩は必要。精神と肉体を休憩させなければ、何時かオ~バ~ヒ~トしてしまう。
恭二はそんな母親を見て、自分が如何に無力だったか解った。自分が何処かで母親に守られてた事を痛感し、新たな決意をしたのだ。
【見てろよ……!】
病院での、この言葉は自分が全てを背負う決意表明。
そして恭二の思考が【仕方無く】から【やってやる】と言う思考に切り替わる。
そして……
「恭兄ちゃん出来たよ!」
『おお~!美鈴……無茶苦茶、美味そうだね』
「えへへっ」
『……美鈴』
「ん?」
『母さんをしっかりと見てやってな?』
「どうしたの急に?」
『何でも無い!けど頼むな?』
「うっ……うん!」
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