闇の種

9/12
前へ
/590ページ
次へ
----その夜----          『美鈴……母さんが過労で倒れた!』    「お母ちゃん大丈夫なの?」    『大丈夫だよ。暫く安静にしてれば良くなるって』    「じゃあ……お母ちゃん直ぐに帰って来るんだね?」    『ああ……だから心配は要らないよ!』    「良かった。それより恭兄ちゃん、御飯食べた?」    『いや、まだだよ』    「ウチの作ったラ~メンで良かったら食べる?」    『美鈴!何時の間に料理を覚えたんだ?』    「さっき、初めてラ~メンを自分で作ったんよ~!だからラ~メンだったら大丈夫!」    『あははっ!そうか~!じゃあ……お願いしようかな』    「はい!ちょっと待っててね?」    恭二を気遣う美鈴。恭二に対する優しさが良く解る。そして、恭二は美鈴が料理を作ってくれてる間、母親の事が気になっていた。          (何故……過労で倒れるまで働いたんだろう…)    (運が悪かっただけか?)    (いや……違う!)    (大切な家族を守る為に決まってる……)          そう……    我が身より大切な我が子の為、母親の美樹は身を滅ぼすまで働くつもりだったのだ。    愛する我が子を守りたい……    その気持ちが強いだけに、過労で倒れるまで働き続けたのだ。これを、精神が肉体を凌駕すると言う。    いくら精神と肉体が強くても休憩は必要。精神と肉体を休憩させなければ、何時かオ~バ~ヒ~トしてしまう。    恭二はそんな母親を見て、自分が如何に無力だったか解った。自分が何処かで母親に守られてた事を痛感し、新たな決意をしたのだ。          【見てろよ……!】          病院での、この言葉は自分が全てを背負う決意表明。    そして恭二の思考が【仕方無く】から【やってやる】と言う思考に切り替わる。    そして……          「恭兄ちゃん出来たよ!」    『おお~!美鈴……無茶苦茶、美味そうだね』    「えへへっ」    『……美鈴』    「ん?」    『母さんをしっかりと見てやってな?』    「どうしたの急に?」    『何でも無い!けど頼むな?』    「うっ……うん!」   
/590ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3632人が本棚に入れています
本棚に追加