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―サヤカの死から1年―
シノブは全くと言って良い程変ってしまった。サヤカが死んでから保育園には行かなくなり、それ所か外にも出ず表情も固く、笑う事,怒る事,泣くと言う感情をも忘れ、シノブの周りから友達が離れて行くのは時間の問題だった。わずかに5歳と言う年齢にして鬱にかかったのだ。
『シイ~起きなさい!学校だよっ』
母親の声が聞こえた。あの事件依頼母親は、前より仕事を早く切り上げ、いつも返答しないシノブに話かけてくれていた。
『学校!?』
そう。シノブは今日から、小学生なのだ。なのにも関わらずそんな話は上の空。
『サヤちゃん...。』
いつもその言葉だけを発し、泣きじゃくるのがシノブの一日と言っても良いだろう。
すると...
``トントントン''
『シノブ!!!』
その声は明らかにお母さんでは無く、低い声でシノブには誰なのかスグ分かった。
``ドンッ!''
『パパアァ~!!!』
そう。シノブの父親だった。シノブはドアを勢いよく飛び出し、父親に抱き付いた。
シノブは父親を心から尊敬し愛していた。シノブにとってはサヤカの次に大切な存在で、親であり友達なのだろう。そんな事もあり、友達や母親などとは言葉を交わさず顔すら合わせない今のシノブにとっては、父親には唯一心が開ける存在...全てなのだろう。
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