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今日、トンビのカップルを見つけた。
2羽のトンビは円を描くようにクルクルと飛んでいた。
明らかに楽しんでいる。
しばらくすると、近くの山からカラスが4羽……偵察部隊だろうか。
どんどんカップルに近付いていく。
4羽のカラスはトンビのカップルに一直線に進んでいく。
…攻撃部隊だったようだ。
カップルは慌てふためく。
不良に絡まれたようなものだ。
綺麗な円は不規則な形に変わり、やがて別の線になった。
カラスの攻撃部隊は1羽のトンビに集中していた。
おそらく雄のトンビが身代わりになったのだろう。
激しい攻防戦が繰り広げられている。
まるで紅の豚のワンシーンを見ているようだった。
雄のトンビは見えなくなった。
部隊が山の影に帰って行った。
雌のトンビは心配そうに鳴きながら、また空に円を描き始めた。
遠くの空に黒い点が見えた。
雄のトンビが帰ってきた。
2羽のトンビは確かめるように、クルクルと廻り始めた。
廻りながら、遠くの空に消えていった。
確かな愛がそこにはあったような気がする。
トンビ達に絆を垣間見た。
風の強い、昼下がりの出来事だった。
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