ボツ小説

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題名『MemoryMark』続き (親友編)         古びたマッチを使い暖炉に火を灯す。   薄暗い室内は少しだけ明るくなり同時に暖かくなる。 雨で冷えきっていた体にはその暖かさが有り難い。   暖炉の近くに寄せたソファーの隣に椅子を持ってきて座る。   ソファーには青年が寝ている。   傷だらけの体は薬と包帯で応急処置をしておいた。   死にはしないだろうがひどい傷と長時間雨に打たれていたためか顔色は悪い。   「早く病院に連れていかないとな……」   窓の外は土砂降りの雨。   それに加えて夜ということもあり魔物が活発に動く時間帯。   そんなときに怪我人を連れていくわけにもいかず、小屋でこうして休んでいる。 青年の手に触れる。   冷たい。   「いったい何時間あそこにいたんだ?」   問い掛けてももちろん、返事はない。   手を擦る。 少しでも暖かくなるように。   自然と彼の爪に視線がいく。   肉がむき出しになった状態。 本来、そこにあるはずの爪はない。   顔をしかめる。   いったい誰がこんな酷いことをするんだ。   さすがに爪が剥がれたところはどう手当てしていいか分からずそのままにしてある。   あまり見ていると見ず知らずの奴に怒りが込み上げてきそうだ。   青年の手を放し椅子に深く腰掛け目を閉じる。   今日はもう寝よう。   明日になればこの人も回復するかもしれない。    
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