2人目の患者

4/11
前へ
/295ページ
次へ
…………。 …………。 …………。 どのくらい紙と睨めっこしていただろうか。 僕はペンを手にしたはいいものの、何を書けばいいのやらさっぱり思い付かないでいた。 だいぶスッキリはしたがまだ重たい頭を横に振る。 "普通"なヤツなんかいない、か.. 僕は不意にマスダ院長の言葉を思い出した。 じゃああの少女の存在はなんてあらわせばいいんだ..? 同時に昼間の一連の出来事が頭の中をよぎる。 大好きな赤を愛する人に見せたくて犯した殺人。 少女の皮をかぶった異常な犯罪者。 あの不気味な笑顔、思い出すだけで鳥肌がたつ。 あれも僕という人間と区別してはいけないのか..? ははは、笑えてくる.. この世には"正常なヤツ"と"異常なヤツ"しかいないんだ.. "普通""普通じゃない"の枠で分けて何が悪い.. 僕はギュッとペンを握り締める。 そしてそのままペンを動かした。
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!

820人が本棚に入れています
本棚に追加