820人が本棚に入れています
本棚に追加
『僕がフクダ ミホの殺人動機を聞いて第1に思ったことは、僕の想像をはるかに超えた"異常者"だということだ。
僕は前の病院でも数々の患者をみて実績もあげてきたが、これ程までの患者は初めてである。
幼少時の体験からか特定の色に異常なまでの愛情を抱き、ある男性にもった歪んだ好意から大量殺人へと至ったとみるが、幼少時の体験の恐怖から特定の色へのトラウマを抱いてしまう例は少なくないが、同じことをするのはまれである。
これも元々フクダの中に"普通じゃない""異常"な何かが存在していたからだと考えられる。』
僕はそこまで書くといったんペンを止めた。
そして下の方に
『僕にはこの病院は不向きだと思われます。
つきましては他方の病院への移動をお願い致します。』
とゆっくり丁寧な字で書いた。
一度紙を手に持ち自分が書いた文章をざっと見てみる。
これで大丈夫だ..
上層部の連中さえ見てくれれば、僕がイワタ病院の1人息子であり才能にも恵まれていたことがすぐに耳に入るだろう..
そして優秀な人材だと知った上のヤツらは僕をすぐにでも移動させてくれるはずだ..
僕はニヤニヤと不気味な笑みを浮かべた。
そして紙を最初にあったように端におく。
ふと黒い時計を見ると5:17という数字をうつしだしていた。
もうこんなに経ったのかあ..
フアァとあくびをしながら伸びをする。
外はまだ太陽も出てないんだろうなあ..
ぼーっとそんなことを考えていると、不意にあることを思い付き再びペンを握る。
そうだ..!
病院内の見とり図でも書いておくか..
うろ覚えな部分もあるが、出来る限り明確にウメダさんの伝言メモの裏に書き記した。
最初のコメントを投稿しよう!