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僕は院長の出て行った扉を見つめてしばらく固まった。
『まあ..お前なら分かるだろう?クックックッ』
院長のあの言葉が気になって仕方がなかったのだ。
なんだったんだ..
あの意味深な言葉は..?
僕の頭にある考えが浮かぶ。
もしかして..
いや、そんなはずはない..
背中に嫌な汗が伝うのを感じたが、僕はその考えを頭から無理矢理振り払い机に向かった。
気分を切替えるため、院長が持ってきた冷めたおにぎりを強引に口に詰め込む。
モグモグモグ..
固くなった米粒を奥歯で噛み締めながら、渡された資料に目をやった。
パラパラと資料をめくりながら3枚目で手を止める。
殺した人数;5人
僕はその人数を見て眉間にシワをよせた。
だが、さらにその殺人方法を見て思わず息をのんだ。
有り得ない..
胃から込み上げてくるものを無理にごはんとともに飲み込む。
想像するだけで鳥肌が全身を埋め尽くした。
僕は一気に失せてしまった食欲をどうすることもできず、残りの朝食を残して資料を机に置いた。
会わなければいけないのか..
そう考えるだけで憂鬱で、震える足は明らかにこれから行くことに対して拒絶反応を起こしていた。
スーハースーハー..
僕はゆっくりと深呼吸をすると、重い体を持ち上げて新しい白い服に着替えた。
行きたくない..
そう思う気持ちを必死に押し殺してゴクリと唾をのみこむと、意を決して扉の外へと歩を進めた。
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