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「…いいの?」
「はい。…友達…でしょう?」
確認してくる片岡に、友達を強調させながら言う。
「あぁ…そうだったね。ありがとう。教えてくれて。今度、連絡するよ」
友達なら教えるのは当然だ、という意味を含ませた夕夜の言葉を理解した片岡は、苦笑を浮かべながら礼を言った。
「お仕事、頑張ってください」
「ありがとう。咲月さんも」
頑張って、と言い残し、店を後にした。
「なんやぁ、夕夜ちゃんはあの片岡とええ仲なんかぁ?」
二人のやり取りを見ていたらしい浅桐が、聞いてきた。
「何言ってるんですか…。そんなんじゃ、ありません。友達、ですよ」
「あの片岡が夕夜ちゃんとねぇ。嫌じゃあ、ワシャ認めんぞっ!!あんなサツなんぞにっ」
夕夜の言葉を聞いていないのか、勝手な思い違いをし、嫌だ嫌だと騒ぎながら、コーヒーを酒のように飲み干す。
「だから、違うって言ってるでしょ…」
おかわりを催促する浅桐に再度言うが、やはり聞いていないようだ。
コーヒーを差出しながら、友達という位置を考える。
片岡を友達という位置に付けるのに、違和感がある。
かと言って、友達以下の位置にも当て嵌まらない。
自分の中で、どこにも当て嵌まらない片岡に、不安に似た感情を持つ。
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