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初めて君を見たのは、向かいの信号で片足立ちをしている姿だった。
信号を渡り、礼を言う君の笑顔が、あまりにも綺麗で、今でも目に焼き付いて離れない。
友達に怒られている姿は、可愛くて、思わず笑みを浮かべていた。不味いコーヒーにしかめた顔も、赤くなった顔も、こんなにも愛しく思ったのは今までなかった。
二回目にあった時、また初めてな一面を見たよ。
刑事の自分や極道の長にも、怖じける事無く堂々とした態度。
ちょっと乱暴な所は綺麗な顔に合わなくて以外に思った。
俺を覗き込む君の顔があまりにも可愛くて、柄にもなく焦った。
番号をくれた時、これは夢なんじゃないかと思うほど嬉しかった。
けれど、君の口から出た友達と言う言葉に、鋭い刺が刺さったように胸が痛んだ。
でも、諦めない。
今まで本気だと思ってきたものが、本気じゃないと気付かされた。
君のすべてに、一喜一憂する俺。
みっともないなんて思わない。
もっと見ていない、君の表情や、感情。すべてを見たい。自分の物にしたい。
こんなに貪欲な感情が、自分の中にあったなんて知らなかったんだ。
君といることで、自分さえも知らなかったものが次々と溢れてくる。
逃げてもいいよ。
逃がしてあげないけどね。
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