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友達からの説教がようやく治まり、片岡達の方へ眼を向けると、おかしそうに口元を緩めていた。
(…ぅわぁ~、恥ずかしい…)
頬が熱くなるのを感じ、手の甲で拭う動作をして誤魔化す。
「ありがとうございました。ごめんなさいね?捕まえてなんて言ったばっかりに、お友達に怒られちゃって…」
申し訳なさそうに言う女の人へ、笑って手を振りながら
「私が勝手にしたことだからいいんです。怒られるのも慣れてるし…それに、こう見えて私結構強いんですよ。」
だから、気にしないでください。と続けた。
「…あー、ちょっといいかな?軽く、事情聴取させてもらっても」
片岡が言う。
「え、はい」
「あー、ごめん。私、用事思い出した。先、帰るね」
と、預けた荷物を押しつけながら友達が謝る。
「んー、わかった。カラオケはまた今度ね」
手を振りながら友達と別れる。
「も、いいか?じゃ、どっか入って話すか」
そう言いながら、片岡は先に歩きだす。
「え?あの、ちょっ、女の人はいいんですか?」
片岡を追い掛けながら聞く。
「あんたが、友達に説教されてる間に終ったよ」
「じゃ、ここで終らせれば「今にも雨降りだしそうなんだけど」」
途中で遮られる。空を見上げると、どんより曇っていた。
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