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「ちょっと待ってて」
片岡は雨の中、濡れることもまったく気にもせず、道路付近まで歩く。
何をするのかと見ているとタクシーを停めるためだったらしい。運転手と話し、傘を借りて戻ってくる。
「どうぞ?」
傘を差しだし、中へ入るよう促す。夕夜をタクシーに乗せ、運転手に傘を返す。
「あの、乗らないんですか?」
まったく乗る気配がない片岡に聞くと、
「俺はまだ仕事中だから」
と返ってきた。
そして、何か言いたそうに口を開くがなかなか言葉にしない。会って間もないが、何となくこの人らしくないと思う。
「あの、何か?」
「あー…君、付き合ってる人とかいる?」
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