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あまりに予想外なことを聞かれ、
「は?い、いませんけど…」
呆気に取られながらも、馬鹿正直に答える。
「そう。じゃ、咲月さん、付き合ってくれない?」
「………………………は?」
(お茶しない?的な気軽な感じで言われた気がする。お茶はもう、さっきした……じゃなくて、は?何、今の?)
夕夜は片岡に言われた言葉の意味を懸命に考える。
「一目惚れってのかな。俺と、付き合ってくれませんか?」
(え?ちょっ、告白だったの?なら、もうちょっと頬を赤らめるとか、吃りながらとか…そんな無表情で言われても…)
「えと、ごめんなさい?私、一目惚れとか信じないんで」
「そう?俺、結構人を見る目あると思うんだけど」
「…本当に人を見る目があるなら、今まで付き合ってきた人と結婚してるんじゃないですか?」
冷静に返す。というか、告白の場の雰囲気ではない。
「うん?それもそうか。じゃ、お互いを知るために、お友達からで」
なおも食い付く。埒が開かない。運転手も気まずいだろうと思い、
「…友達なら…」
と、渋々返す。
「良かった。ありがとう。これ、俺の番号ね」
そう言うと、自分の番号とアドの書いてある紙を渡す。
「それじゃ、気を付けて」
ドアが閉まり、片岡と別れる。
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