第一章

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 「気分はどう?悪くない?」  鶯は橙姫の脇に膝を下ろした。  「えっ……と、うん、大丈夫」  「良かった。ちょっとごめんね」  鶯は袖を抑え、橙姫の額に手を当てる。  橙姫は、柔らかな手が自分の額を優しく触れるのを、心地よく感じた。  「うん、熱も無いみたいね」  鶯は満足気に頷くと、ニッコリと微笑んだ。  「何か欲しい物ある?」  「ううん」  橙姫は首を軽く左右に振る。  「遠慮しなくてもいいのよ?」  「あの……」  「なあに?」  「朱鷺は?」  橙姫がそう問うと、鶯の顔が笑顔のまま暗く沈む。  「朱鷺はね……」  鶯は言葉を繋ぎながら、橙姫の背に手を回し、横になるようにとソッと促す。  「まだ目を覚まさないの」  上掛けを肩まで掛け直し、橙姫の頭を優しく撫でる。  「覚まさないって具合悪いの?」  「ちょっとだけね。あなたの首に、石が掛ってるの分かるかな?」  橙姫は自分の胸の辺りをまさぐる。  着物の下に何か固い物があるのに気付いた。  首に手を回せば、紐が掛っている。  紐を手繰り寄せると、先には小さな巾着が付いていた。image=97401231.jpg
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