第一章

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 白い小さな花模様が散りばめられた、赤い生地が袋状になり、赤い紐が通され首へと廻る。  巾着は橙姫の掌よりまだ小さかった。  「これなあに?」  橙姫が巾着をつまんでみると、中に丸く固い物が入っていることが分かる。  「それはね、とっても大切な物なの。だから絶対に無くしちゃ駄目よ?」  「絶対に?」  「そう、絶対に」  鶯がそう真剣な顔で頷く。  「朱鷺がね、あなたにあげたの」  「朱鷺が?」  途端に嬉しそうになる橙姫。  「だからね、約束。指切りしよっか」  「うん」  二人は小指と小指を絡め合い、声を揃える。  「指切りげんまん嘘ついたら針千本のーますっ、指切った!」  指を離すと二人は笑い合う。  「中、見てもいい?」  「いいわよ」  橙姫は真剣な表情で、慎重に巾着を開ける。  その真剣な表情は、巾着を……朱鷺がくれた巾着を、大事にしようとする橙姫の気持ちの表れだった。  そしてそれは、たった今行われた鶯との約束も、大事にすることも同時に表している。  鶯はこの小さな姫が、とても愛しく感じられた。
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