第一章

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 「わあ、綺麗!」  小さな巾着から出てきたのは、乳白色でありながら、角度によって瑠璃色に輝く小さな玉だった。  橙姫は手の平に出した小さな玉を、ソッと指で持ち上げ、繁々と見つめる。  「それはね、元々は違う形だったんだよ」  鶯は少し寂しげに呟いた。  「違う形?どんな形だったの?」  そう問掛ける橙姫の視線は、玉から離れる事は無かった。  「内緒っ。……でも、いつか分かるときが来るかもしれないわね」  「いつか?」  「そう、いつか……。それまで大切に持っててね?」  「うんっ!」  橙姫は玉からやっと視線を外し、鶯に頷き返す。  その顔は笑顔で満ち溢れていた。  鶯はその顔を見て、優しく微笑み返す。  「さっ、もう少し寝た方がいいわ」  「うん」  橙姫は、玉を大事そうに巾着へと戻すと、着物の中へと入れ、横になった。  鶯が上掛けを直す。  「あの……」  「ん?なあに?」  「あの……名前……」  モジモジと上掛けを引きずり上げ、目だけを出す橙姫。  「私?」  橙姫がコクンと頷く。
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