第一章

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  「鶯(うぐいす)姉!」  朱鷺は、中納言の後ろから現れた女性が誰なのか分かると、その名を呼んだ。 「おや、知り合いかい?」  中納言が鶯に問い掛ける。 「私の一族の本家の嫡男です。ですが、私の弟みたいな子ですね」 「そうかそうか」  中納言はにこやかに答えると、朱鷺を見直す。 「ふむ、品のある顔立ちといい、背格好といい……何より優しい目をしておるの。私の幼い頃に瓜二つじゃ」  中納言はそう言うと豪快に声をあげて笑った。 「まあ、中納言様ったら……」  クスクスと鶯が笑う。 「そうじゃ!橙姫、この鶯はな、お前の新しい母上になる方だよ?ご挨拶して」 「新しい……母上?」 「そうだよ」  中納言は我が子の頭を優しく撫でた。 「それ、本当?」  朱鷺がすぐさま鶯に聞いている。 「本当よ」  嬉しそうに笑いながら答える。 「そうなんだ。おめでとう」    朱鷺が祝いの言葉を口にする。 「ありがとう」  礼を言った鶯は橙姫の前にしゃがみこんだ。 「初めまして。仲良くしてね」  橙姫はモジモジしながらコクンと頷いた。
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