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「鶯(うぐいす)姉!」
朱鷺は、中納言の後ろから現れた女性が誰なのか分かると、その名を呼んだ。
「おや、知り合いかい?」
中納言が鶯に問い掛ける。
「私の一族の本家の嫡男です。ですが、私の弟みたいな子ですね」
「そうかそうか」
中納言はにこやかに答えると、朱鷺を見直す。
「ふむ、品のある顔立ちといい、背格好といい……何より優しい目をしておるの。私の幼い頃に瓜二つじゃ」
中納言はそう言うと豪快に声をあげて笑った。
「まあ、中納言様ったら……」
クスクスと鶯が笑う。
「そうじゃ!橙姫、この鶯はな、お前の新しい母上になる方だよ?ご挨拶して」
「新しい……母上?」
「そうだよ」
中納言は我が子の頭を優しく撫でた。
「それ、本当?」
朱鷺がすぐさま鶯に聞いている。
「本当よ」
嬉しそうに笑いながら答える。
「そうなんだ。おめでとう」
朱鷺が祝いの言葉を口にする。
「ありがとう」
礼を言った鶯は橙姫の前にしゃがみこんだ。
「初めまして。仲良くしてね」
橙姫はモジモジしながらコクンと頷いた。
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