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「私ね、小さい頃人魚姫の話が好きで、よく絵本読んでもらってたんだぁ。」
「でもあれってハッピーエンドじゃなかったよな?」
「うん。でも、すごく好きだったんだよねぇ。」
私は水島 叶(みずしま かなえ)高校2年生。只今初彼とラブラブな毎日を送っています。
彼は村瀬 直人(むらせ なおと)同じく高校2年生。部活を通じて仲良くなったのです。
私達は部活帰りに近くのファーストフード店で他愛のない会話をしていました。
この幸せが長く続かないことも知らずに…。
「ねぇ。明日は何の日か知ってる?」
「明日は数学で当てられる日。」
「もぉ~違うよぉ。明日は…」
「叶の誕生日だろ?覚えてるよ。」
そう言って直人は、優しく微笑みかけてくれた。付き合い始めて3ヶ月が経ち、私は彼氏のいる初めての誕生日を迎えようとしています。
「彼女の誕生日忘れないでよぉ~。」
「忘れてないよ。明日渡すもの“とか”もう用意してあるし」
「ほんと!じゃあ明日楽しみにしてるね!!」
「また明日な。」
私はこの時、彼が用意しているものがなんなのか想像していませんでした。そして、彼のせいで自分が崩壊していくだなんて、思いもしませんでした。
「…え?…なに…いって…るの…?」
「これが俺からの最後の贈物。俺はもうお前とは付き合えない」
「私の…なにが…悪いの?なお…すから…ねぇ…だからっ…」
「…ごめん。」
直人はそういって私のもとから去っていきました。
涙が止まらなかった。
なにがなんだか分からなくて、ただ悲しくて哀しくて…寂しかった。
私の一番側にいた人がいなくなって寂しかった。
「そうだプレゼント…」
最後の贈物として直人は私にイルカのネックレスをくれました。
「…っ…なん…でぇ…」
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