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次の日、友人に昨日のことを話したら、直人に纏わる噂話を教えてくれた。
「噂なんだけど村瀬さぁ、後輩に気があるらしいんだよね。で、その後輩も村瀬のこといいなって思ってるらしいよ。叶と別れたってことはもしかしたら…」
別れを告げられた理由なんて単純なものであった。
でも、私は今でも彼のことを誰よりも愛している。
「叶?大丈夫?」
友人が心配そうな顔で私の顔を覗き込んでいた。
「うん。大丈夫だよぉ。」
大丈夫なんかじゃなかった。私は私でなくなっていった。
―ねぇ、人魚姫はふられちゃうと泡になっちゃうんだよ。だから私も泡になっちゃうよ?ねぇ、早く戻ってきて…。
数日後、直人が後輩と帰っていく姿を見かけた。
―動きだした歯車は壊れてしまうまで止まれない。
「ね、見た!?村瀬のやつもう新しい彼女作ってんの!」
「うっそ!?まじぃ~変わり身早くね?」
直人が新しい彼女を手に入れた事実は、瞬く間に広まった。
―私は人魚姫。あなたが私を選んでくれないというのなら、私は海の泡となり消えてしまうしか道はないのです。
「…ねぇ…直人…私今も…あなたが……でも…直人はぁ…直人は……アノ女ヲ選ブノネ…」
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