死神の名付け親

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死神は娘に医者に見捨てられた人を救う方法を教えた。 死神が病人の足元にいたならば、天使の力を持つ娘が触れることで助かる。 枕元にいたならば、娘の力ごときでは助からないというものだった。 「うまくいくのかしら?」 「いくさ。彼らは必死だからね。問題は助からない人への説得ぐらいさ。」 死神がいった通りだった。 似たような症状を持つ患者でも、助かる者と助からない者がいた。 助からない者は必死に頼み込むが、娘は断るしかないのだ。 そして、そんなことを繰り返すうちに、娘は財産に恵まれるようになった。 また、娘が断った患者は他の医者は診ることすらしなくなった。 「まさかこんなにうまくいくとは思わなかったなぁ~。」 娘は上機嫌であった。 金で手に入れられるものは、何でも手に入れられるようになったのだ。 無理もない。 「先生、皇子様からお電話です。」 だがこの依頼により、娘は死神を怒らせることとなった。
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