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俺は情報収集を終え、再び井戸の前に戻ってきた。
<お菊さん。あなたは十枚一組お皿を割って殺されたんですね。俺はあなたが“そんなお皿”のために殺されたことが不愉快だ。人をそんなことで殺してはいけない。あの主人にお灸を据えたい。だから、姿を現してくれないか?>
俺の問いかけにお菊さんは声だけで答えた。
<なぜあなたは私に近づくの?>
<俺はある家に仕える身なんです。今の主人のことが気に食わなくても、俺はその家に仕えなくてはいけない。今回はその主人が、あなたをどうにかして欲しいという依頼を受けましてね。今ならまだ説得次第でなんとかなると言いだしたので、俺が来ました。でも、俺はこの屋敷の主人が嫌いです。だから、あなたの満足のいく仕打ちをしたい。その後でお菊さんが成仏してくれれば、依頼は成功しますからね。>
<…仕打ち…>
お菊さんはすうっと、姿を現した。
<私が今までここにいたのに、あいつはなんとも思っていないのね…>
<きっと気味悪いな、とか思ったから依頼したんでしょうね。罪の意識はないみたいだったし。>
お菊さんはうなだれながら、何か考えているようだ。
<私…あいつを…‥して欲しい‥>
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