ワン・ナイト・クリスマス

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>『うん、』ジェームスはくすっと笑って答えました。『クリスマスだね。』 >そんな少しだけ遅れたクリスマスは、二匹の最高の思い出になりました。 > >さて、その冬ももう終わりかけという頃、ジェームスは急に高い熱を出してしまいました。ジェームスが街を回ることが出来なくなったので、マットはいつも食べ物を人間のところから盗ってくるようになりました。 >そうして人間達がマットに腹を立てて、だんだんと食べ物が盗みにくくなって来た頃、ジェームスは急に冷たくなって、一言も喋らなくなってしまいました。 >ぴくりとも動かなくなったジェームスに、マットがどうしたらいいか分からずうろうろしていると、いつもゴミを片付けている人間が、ジェームスをビニール袋に入れてどこかへ持っていこうとしました。 >マットはジェームスを盗られまいと必死に抵抗しましたが、いくら力持ちで乱暴者のマットでも、人間の大人にはかないませんでした。 >その人間に奪われたきり、ジェームスが帰ってくることはなく、 >マットはひとりぼっちになりました。 > >小さな街の中、マットは一匹だといくぶん楽に生きていく事が出来ました。見つけるエサも少なくてすむし、盗ってくる食べ物も半分で済みます。 >一匹だけの段ボール箱の中は少しだけ寒かったのですが、季節は暖かくなり、すぐに暑くなって、やがてまた寒くなる頃には、マットはもう一匹でいることに慣れていました。 >ある日の夕方、マットが街を歩いていると、街中がぴかぴかしたものでいっぱいになって、どの家からも美味しいな匂いがし始めました。
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