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>『そうか、クリスマスだ。クリスマスは、楽しくて、美味しいんだ。』マットは久々に楽しい気分になりました。
>カギしっぽを高くかかげて、マットは街をうろうろし始めましたが、やがてある家の前で足を止めました。
>人間の親子が、楽しそうにぴかぴかしたものを木にたくさんくくりつけていました。
>マットは急に立ち止まったまま動けなくなってしまいました。目の奥が熱くなって、目の前の光が滲んでいきます。
>マットは困り果ててしまいました。何しろこんなことは初めてで、物知りのジェームスがいないと、マットはその事を何と言うのかも、どうしたらいいのかもさっぱり分からないのです。
>そうしてマットが人間の親子を家の外から眺めていると、後ろからジェームスの声がしました。
>『それはね、こどくって言うんだ。』
>懐かしいかすれた声でした。
>『こどく?』マットは泣きながら答えました。『俺はこんなものいらないよ。そうだ、捨てちゃおう。人間みたいに。』
>『ダメだよ』ジェームス寂しそうにくすっと笑いました。『こどくは捨てることができないんだ。』
>『いや、きっと捨てられる。クリスマスだって捨てられてたじゃないか!』マットは言い返しました。
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