ワン・ナイト・クリスマス

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『違うよ、マット。絶対に捨てたり、盗ったり出来ないものがあるんだ。』ジェームスはマットをなだめるように言いました。 >『嘘だ!だって、ジェームスだって人間に盗られちゃったじゃないか!』 >マットは大粒の涙をいくつも零しました。 >『マット…』 >ジェームスはマットの背中に顔をこすり付けました。 >『違うんだマット。僕はこうしてずっと君のなかにいるんだ。ずっと。 >マットのなかの僕は、ぜったいに誰にも盗られたりしないよ。 >誰にも、盗られない。』 > >マットは懐かしいスタンの小さな顔に、鼻を押しあてました。 >懐かしい小さな息遣いが聞こえました。 >『ジェームスは誰にも盗られない』マットは呟きました。『ありがとう、ジェームス。』 >それを聞いたジェームスは安心したようにくすっと笑った後、すうっとどこかへ消えてしまいました。
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