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三崎彩音、ボクより3つ下の18歳。高1のときにお母さんを病気で亡くし、高校卒業してからは、お父さんが自営でがんばっている花屋の手伝いをしているらしい。
親孝行の彼女に感心した。
それに引き換え、ボクといえば、母親の反対を押し切って、大学を中退し家を出て、夢を追いかけている。まったく情けない。
「ねぇ?これからもこうしてあなたのギター、聴きに来てもいいかな?」
「なんか、恥ずかしいな…うん。いいよ…あ、でも仕事は?」
言いながら、向かい側の花屋をチラリと見る。
「あ~大丈夫。この時間、お客さん、ほとんどいないし」
彼女も店の様子を窺う。
「あ!パパが呼んでるみたい…行かなくちゃ…それじゃまたね」
彼女は、急ぎ足で店に戻る。途中、足を止め、振り返ると、小さく手を振り、バイバイをした。
つられるように、ボクもバイバイをした。
これが、彼女との初めての出逢いだった。
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