goods

2/2
前へ
/290ページ
次へ
「短編屋……ですか?」 「代々ここで商売しとるよ。」 「あの……短編屋って言うのはいったい何なんですか?こじんまりとした店内を見渡す限り、本は一冊もない。どうも私には、雑貨屋にしか思えないのですが?」 「短編小説とは不可思議な事が主人公に襲い掛かるじゃろ?話の最後はだいたいどんでん返しに終わる。」 「はい。私も好きで、たまに読んでます。」 「この店に置いてあるのは、そう言った商品なんじゃよ。」 「はい?」 「ほれ!例えばそこの腕時計は時間を止められる。あれは暗殺玩具。この消しゴムはタイムマシーンじゃよ。」 「まさか!?」 「信じるか信じないかは、お前さん次第じゃ。」 「………で、いったい何を盗まれたのですか?」 「王冠じゃよ。」 「何が起こるのですか?」 「聞きたいかい?」 「参考までに。」 「かぶると王様になっちまうんじゃよ。」 「王様に!?」 「ただし、寿命が残り一分になっちまうんじゃよ。まあ、人生の最後に地位と名声が得られるって代物じゃな。今頃、どっかで死んどるんじゃないか?」 「ま、まさか!?」 「ならお前さん。このマントを付けてみるかい?効果は王冠と同じじゃよ?」 「え、遠慮しときます。」
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加