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その舞を見た者は死ぬ。俺は、死の舞を踊る踊り子がいると噂されている酒場に来ていた。
「マスター、本当にいるのか?」
「ああ、いる。」
俺は、疑っていた。噂が本当ならば、なぜマスターは生きている?なぜこんなにも踊り子目当ての客がいる?
「本当に見たら死ぬのか?」
「いいか?初めて死の舞を観賞するなら、まずは常連客達の様子を伺うんだ!分かったな?まあ、死にたいなら話は別だがな!」
マスターは、その巨体を揺らし、何やら誇らしげに笑いながら俺に忠告した。
「そろそろ始まるぞ。」
マスターがそう言うと、酒場の照明が暗くなり、踊り子がステージに上がって来た。スポットライトを浴びる彼女の姿を見て、俺はなぜ酒場が満員なのかを理解した。
「どうだい?」
「美しい。」
「だろ?」
そして曲がスタートし、いよいよ死の舞が始まろうとしていた。
「!?」
俺は常連客達の行動に驚いた。全員目をつぶっている!?俺は好奇心を抑え切れずにステージに目をやった。
「ガタンッ!!」
椅子から転げ落ちた俺の視線の先のステージ上には、踊り子がぼけーっと立っているだけだった。
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