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茂吉は、いかにも『よろしい』といった表情で再び前を向き、歩き出した。
「大桜だ。」
『大桜』は、霧の里の集会場のような場所だ。
その名の通り、樹齢数百年の大きな桜の木である。
普段は、休憩所であったり、子供の遊び場であったりする。
「大桜…で、すか?な、なんででござ、いましょうか?」
大護は慣れない喋り方と、茂吉の怖さでしどろもどろになっていた。
「あさっての唱印式の件だ。他の四人もすでに喜世助が呼びに行った。」
喜世助は、茂吉の息子である。
(…なんでおれだけおじちゃんが直接呼びにくるんじゃ……)
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